先日は大腿骨骨折歴の有る方のバイクフィッティング。
事前情報も含め、難しくなりそうなフィッティングになることが予想されました。
真の脚長差(骨盤の傾斜ではない)の原因は、先天性疾患や複雑骨折が変形治癒した場合など。
足の長さが違う場合、特に脛骨の長さが違う場合は、シューズ下に脚長差に合わせてレッグレングシムを入れることは、欧州プロ選手の間でも一般的で、長時間経過後の痛みの解消には有効な方法です。
ただし大腿骨の脚長差がある場合は短縮側にシムを入れても、左右の脛骨と大腿骨の比率がアンバランスになる事を考慮に入れる必要があります。
サドル高を決める上で指標となる自転車のクランク6時位置時の(脚が最大伸展時)膝の角度を作る要因も、脚長のみに注目するべきではなく、歩行時の代償運動の程度と筋の発達具合を考慮に入れなければなりません。
自転車は脚が地面に同時に着地することは無いので、歩行時に出る脚長差による骨盤、体幹、下肢全体の代償行為が自転車のペダリングにおいて出現しない場合もあるし、その程度も歩行時ほどではないケースも見られます。
体幹、骨盤、足関節の筋量、柔軟性といった要素で、サドルにまっすぐに座ったままでも脚長差を補える範囲のポジションを探すことが一つ重要になるでしょう。
3センチ以上の脚長差で外見的な異常歩行が見られるケースもありますが、私の知る選手で3センチの脚長差でもトップレベルで長く現役を続けた選手もいます。自転車競技は脚長差が多くてもパフォーマンスに影響しにくい競技といえるかもしれません。
今回は通常のアセスメントよりも詳細に身体のチェックを行いトライ・アンド・エラーで塩梅を決めていくという作業でフィッティングを行なって行きました。
フィッティングを行った方は2センチの脚長差でしたが、下肢の筋量に左右差がないことや、骨盤や体幹の歪みは自転車上では大きな問題点とならなかったことが幸い。脚長差の3分の1のシムと、変形治癒した大腿骨折癒合部に合わせクリートの調整に工夫を加えたことで、体感的にも踏みやすさを実感して頂きました。
脚長差が有る場合のフィッティングは、私としてもフィッティングの経験を積む上でも貴重な経験です。
欧州でも脚長差の解消のため装具で代償動作を解消する方法はよくとられるようです。
ただ最近の傾向としては、単純に脚長差を整え、後はライダーの感覚を頼りに補高量を決めていく、というやり方ではなく、体幹や骨盤が正しく補正されることを専門家がモーションキャプチャー等で確認し装着するという考えが浸一般化していると思います。
私も約1か月後に渡欧をしますが、今年の宿題として現場での実例と傾向をしっかりと観察していきたいところです。
初めてコメントします。
娘(11才)には後天性脚長差が26mm、側わんがあり、医師は、骨端抑制術が適用と言ってます。
脚長差は過去10年間、変化はないです。
娘は、水泳が好きでこれからも続けたいと考えており、母親として彼女にとって良い選択をしてあげたいと思っています。
保存療法と手術療法それぞれのリスクを考えた時、私は、補高靴を使用した保存療法を選択したいと考えています。
治療方針決定の参考として、脚長差が3cmでもトップレベルで長く現役を続けられたという方のことを詳しく教えて頂けますと幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
石山紀子