ツール第9ステージ
ヴィノクロフは集団落車で崖下に転落。股関節を骨折する重症を負いました。
彼を引き上げる為に立ち止まった他のアスタナの選手は、彼の脚が通常とは明らかに異なる形状をしていた事に直ぐ気づいたそうです。
救急車に同乗したチームドクターは、ヴィノクロフが輸送中、脚が動きそうと言い出し救急車を一度止めさせようとしたエピソードも話していました。
ヴィノクロフはASOのオーガナイズにより、専門医のいるパリの病院にヘリで搬送、深夜2時から明け方5時までかかった手術も無事に終了しています。
このツールで引退を表明していただけに、非常に残念なかたちでのリタイヤとなりました。
第9ステージの後、普段マッサージ中に携帯を触ることは禁止させていますが、ヴィノからのメッセージだったので私も仕事の手を止めました。
事故後数時間にもかかわらずの冗談交じりのメッセージ交換でしたが、その行間に我々の指揮を上げるためには十分すぎるほどのメッセージ。(また頭から木にぶつからず良かったとも・・)
私は今年アスタナに加入したばかり、でも彼のキャプテンシーや求心力の高さを既に十二分に理解しています。
彼へのメッセージはこちらから(要facebook登録)
しかし今年のツールは事故が多い。
選手の声で一番良く聞かれるのは、私の周りで聞く限りでは、以前と比べリスクを負う選手が増え、また不注意が増えたたという声でしょうか。逆にコースが危ないという声はあまり聞かれません。
私はこの日は第2チームカーに同乗していました。
リタイヤの可能性のあったクロイツィゲルのサポートとでしたが、ヴィノのサポートで第1カーが下がった後は、立ち止まった選手の集団への引き上げにしばらく従事。
平坦ではカーペーサー、登りでは飲むわけでもないボトルを何度も差し出し、それに掴まらせ監督はアクセルを開けるという事の繰り返し。審判者が近くにいてもお構いなしでしたが、彼らも見て見ぬふり。落車の事故のリカバリーの際は彼らもその点を考慮するのでしょう。
道幅も狭く大混乱の中での作業となりました。
こんにちは、中野さん。
今回のツールの様子が、テレビでは伝わってこない現場からの空気感が読み取れてとても興味深く読ませてもらっています。
クロイツィゲル選手の落車もかなり残念なニュースでしたが、9日目のヴィノクロフ選手の落車にはドキドキしました。怪我はひどくとても残念ですが、とりあえず生きていてくれて本当によったと思いました。最近の事故のことを考えると…それにしても病院からのメッセージ、ヴィノクロフ選手の人間としてのタフさに驚きました。
それ以外にもありえないような事故が起こっていることも心配ですが、選手たちが前向きに頑張っている姿に感動しつつ毎晩応援しています。
落車が多くケアもより大変だと思いますが、中野さんも頑張ってください。
これ以上怪我がなくパリにゴールすることを祈っています。